論文覚書.

  1. B. Yin and W. A. Curtin, “Origin of high strength in the CoCrFeNiPd high-entropy alloy,” Mater. Res. Lett., vol. 8, no. 6, pp. 209–215, 2020.
  2. B. Yin, S. Yoshida, N. Tsuji, and W. A. Curtin, “Yield strength and misfit volumes of NiCoCr and implications for short-range-order,” Nat. Commun., vol. 11, no. 2507, pp. 1–7, 2020.

Solute strengthは基本的に転位とsoluteとの相互作用によって決まる.その理論を用いてHigh entropy alloy (HEA)のyield strengthを予測することができる.一方,最近はHEA内のランダムでない配置(short-range order, SRO)が注目されているらしい.上の二報は,SROがyield strengthに影響しているという意見もあるがどうかを調べた論文.

  • どちらも結論は似ており,yield strengthの予測にはSROを考える必要はなさそうというもの.
  • 理論には,最適化すべきパラメータが不要で,格子定数,弾性係数,misfit volumeという物性値を実験もしくは計算で求められれば,yield strengthを求めることができる.
  • Ref.[1]では,Pdを含むことでstrengthが上昇するのは,Pdのmisfit volumeが大きいから.
  • Ref.[2]でも,SROを持ち出さずに実験値と理論だけでyield strengthをかなり精度良く予測できる.
  • ただし,Ref.[2]のNiCoCr系では,どうもDFT計算の精度が悪いようで,misfit volumeを精度良く求めることができないらしい.
  • 数学的モデルの重要性をあらためて認識させられる.