エネルギーはMDにおいて基本的な物理量で,速度ダンピングも温度制御も外力も与えていないNVE-MDを行っている場合,全エネルギーは運動エネルギーとポテンシャルエネルギーの和としてほぼ一定値をとっている.このことは,MDシミュレーションの妥当性の検証のはじめの一歩である.
構造最適化を行うような場合には,最初に少し高い(であろう)運動エネルギーが0に漸近することが期待される.
温度一定のMDの場合には運動エネルギーが一定値となる.
MDの間の全エネルギー,運動エネルギー,ポテンシャルエネルギーは out.erg
ファイルに書き出されるため,gnuplot
を使ってエネルギーの保存性を確認することができる.
$ gnuplot
gnuplot> plot 'out.erg' us 2:3 w l t 'total', 'out.erg' us 2:4 w l t 'kinetic', 'out.erg' us 2:5 w l t 'potential'
out.erg
内の値は生の値のため,運動エネルギーと全エネルギー,ポテンシャルエネルギーとは絶対値が大きく異なることが多い,そのため,初期の運動エネルギーを差し引くことでエネルギーの変化に着目することができる.
gnuplot> e0 = -9.3648308E+002
gnuplot> p 'out.erg' us 2:($3-e0) w l t 'total', '' us 2:4 w l t 'kinetic', '' us 2:($5-e0) w l t 'potential'
ここで e0 = -9.3648308E+002
が初期のポテンシャルエネルギーである.
このコードで得られるプロットが下図のようなものであり,トータルエネルギーが保存していることがわかる.